やさい日記

複線的人生の創造

木造の人工衛星を宇宙へ 

本業の関係で、京都大学に行ってきました。宇宙飛行士だった土井隆雄先生にお会いして、先生がいま研究されている内容を聞くことが出来るという、すごく貴重で贅沢な体験をしました。

 

先生がいま研究されているのは大きく分けると2つ。一つは人工衛星を木造にして打ち上げること。もう一つは低圧状態で木材を育てること。

 

有人宇宙学と呼ばれる分野で、これは土井先生の造語だとか。人間が宇宙に行き社会を作るという来るべき未来に今から研究し備えようというわけです。

 

数百人から億人レベルが宇宙で生活して社会を構成するには資源が必要です。人間が作れる資源は木。木を宇宙に、まずは火星で育てる。その木を使って宇宙に生活基盤をつくること、その目標に向けてまずは人工衛星を木造にして宇宙空間での実験をするということです。

 

壮大な目標に向けてそれを細分化して一つ一つ実験し、改良し、成果を出していく。これはほんとうに勇気と忍耐が為せる業だと頭が下がりました。すごいです。

 

人工衛星を木造にするといいことがあります。宇宙ゴミになりません。そしてアルミニウム製の場合は太陽光を吸収してしまい地球に届く太陽エネルギーが減ってしまうのですが、木製だとそれがありません。地球環境にも優しい人工衛星なのです。

 

先生は20年から30年後には、地球を回る人工衛星は木造になると考えていると、にっこり話させていたのがとても印象的でした。

 

この人工衛星を木造でというのは、聞いてみるとなるほどなと思うのですが、土井先生以外誰もまだ考えて実現していなかったそうです。

 

研究室の移動の時、先生としばらくお話する時間がありました。「人工衛星を木造にするという夢を話した時に、反対されたり笑われたりしなかったのですか?」と聞いてみました。

 

先生は、「木の人工衛星は燃えるからだめだよといわれたことありました。でも燃えるからいいんですよ、って話したんです。逆転の発想ですよね。」とにこやかに言われました。

 

私ならそうか、やっぱりだめか、燃えたらダメだもんなーとその場であきらめてしまいそうです。それを一つ一つクリアしていき、京都大学でも協力してくれる先生に出会い、いまは研究室に50人ほどの学生さんが主体的に研究を進めているそうです。この土井先生の実行力はすごいなと漢字ました。

 

土井先生は「どうですか?人工衛星を木造にして打ち上げるというのは?ぜひ一緒に取り組んでいきましょうね。」と言われました。私にもこういうふうにサラッと声をかけてくださるのです。

 

聞いた私もその気になるので、先生の周りを仲間にする、巻き込んでいく力がすごく、私にもなにかできるんじゃないかという希望と、先生に対して親近感がわきました。

 

土井先生は高校時代に宇宙にかかわって生きていこうと決められたそうです。高校時代天文部だったそうで、同じように天文部だった私とは大きな違いだな…、もっと天文部で学んでおけばよかったなぁと思いました。

 

木造人工衛星は来年打ち上げを目標に進めているそうです。打ち上げが成功して木造の人工衛星が地球の周りを回るのを私も心待ちにしています。