やさい日記

複線的人生の創造

大人が日本史を学びなおすのにおすすめの本を紹介します

【わたしたちはどこから来て、どこへ向かうのか】。このフレーズは多くの人が語り手垢のついたような印象がありますがとても好きで、私もその問いを追求すべく(もちろん答などありませんが)日々を生きています。

 

【どこから来て】を追求するために日本史を軸にしてたくさん自分のなかにシャワーのようにとりこもうとしています。私が活用している本は「いっきに学びなおす日本史」という東洋経済新報社から出ているもの。教養編(古代から江戸)と実践編(江戸中期から昭和)の2冊に分かれています。

 

1973年に出版された受験参考書「大学への日本史」。当時駿台予備校講師の安藤達朗氏がかかれたものです。この本がすごいのはその安藤氏が一人で古代から昭和まで書いていること。あえて安藤氏は一本の軸を通したいため自分ひとりで執筆することを選んだと書いています。いやほんますごい。

 

その受験参考書を現代の研究結果に踏まえ見直してリバイバルしたというのがこの本。作家の佐藤優氏が企画をされました。佐藤氏は、新書をたくさんよむより、この本一冊をじっくり読む方が血肉になる、みたいなことを書かれています。私は何度も繰り返しこの本を読むことで、ああたしかにそうかもなと、この本を世に出してくれたことをありがたくかみしめています。

 

一見無味乾燥な教科書のように思うのですが、何度か繰り返し読んでいると、なにかそれだけではない物語を感じるのが、この本のおもしろいところ。背景がわかり、前時代からの流れがわかり、簡潔な文章のなかに奥行きがあってもっと深く知りたい、これに関して調べてみたいと思わせてくれます。

 

日本史が暗記科目だと思ってアレルギーのある方にはちょっとヘビーかもしれませんが、日本の歴史も知っておきたいなという方にはとてもおすすめです。もっと簡単なまとめ本みたいなのから入って、この本にたどりつくのもいいかもしれません。

 

いまこの本を日々読み直している中で私が楽しいなと関心のもっているテーマは

 

・日本人は土地をどのように考えてきたのだろう

地方分権→中央集権→地方分権→中央集権と繰り返しているよなあ

・偉人やヒーローが生れた背景(その時代だからこそ偉人たりえたので)

 

これって【どこから来たのか】を知ろうとする作業ですが、【どこへ向かうのか】を探す作業でもあります。例えばいまは地方というか地域活性の時代だとは思うのですが、一方で国防の点では国家という枠組みはとても重要になっています。ではどうしたらいい?だから日本史っておもしろい。未来志向でいられるから日本史っておもしろいんですよ。

 

これを読んで興味を持っていただいたらぜひ手にとってみてください。そして東洋経済新報社さん、ずっと版を続けていってほしいです!お願いします。この本が汚れてきたので買いなおす日が来ると思います。