講談に最近興味があります。実際に観に行ったことはないのですが、人気の講談師・神田伯山さんの「講談放浪記」という本が出ているのを知って読んでみました。
講談は歴史をもとにしてフィクションで語っていきます。日本史が好きな私には元ネタが歴史であることで興味を惹かれます。伯山さんの本は講談のネタのもとになった史跡を訪れるという内容。フィクションですらどこかに史実の香りが残っているところが感じられて読んでいて面白かったです。
忠臣蔵。講談では「赤穂義士伝」としてたくさんの演目があるそうで、伯山さんの師匠である神田松鯉さんが最も多く赤穂義士伝関係の演目を得意としているようです。その赤穂義士の聖地、浅野内匠頭が葬られている泉岳寺に伯山さんが訪れています。
今はテレビドラマでもやりませんが、昔は年末によく時代劇スペシャルみたいにやっていました。伯山さんも若い世代に赤穂義士伝を魅力的に伝えることを模索しているようです。赤穂義士伝はすれ違う人間の物語だと捉えていけば、若い人にも共通する、共感される話なのだろうというようなことが書かれていました。
他にも平家物語、宮本武蔵などの史跡も訪れていました。あとは相撲の話、私の好きな貴乃花関のことも。最後には伯山さんと師匠の松鯉さんの対談。師匠の神田松鯉さんはこの本で初めて知ってその対談を読んで驚いたのですが、とても言葉遣いが丁寧。弟子の伯山さんにも敬語を使い話をしているのです。文字でしか見ていないのですが品格あるなあと感じました。
その最後の場面で松鯉さんが伯山さんに、伯山が出てきてくれたおかげで講談が盛り上がった、どんどんこれからも進んでいってほしいです、というメッセージがありました。松鯉さんは80歳を超えられています。
私が通う書道教室(教えるほうではなく、習うほうです)で教えていただいている岡本先生も80歳を超えられています。昨日書友が、「先生もこの御年で自分のためではなく私たちのためにきてくださっている、ほんとうにありがたい。先生への感謝を心にもって私たちは先生との時間を大事にしていこうね。」、と私に話をしてくれました。
この伯山さんと師匠の対談を読んだあとだったので、この書友の話は特に自分事として身に沁みました。ちなみに岡本先生、今年で書の指導歴が45年。「あと5年で50年ですね」と話したら、「そんなところまでは・・・」と笑ってられました。それでも年内に東京での女流展を含め3つの作品制作を抱えているそうです。
先生の背中を次の世代が追いかける。人間社会で大切なことですね。ありがたいという気持ちで。いい先生にめぐりあえて幸せだよなあとしみじみ感じ入った昨日でした。
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