やさい日記

複線的人生の創造

9月は昇段級試験の課題に取り組んでいます

たまには書道教室の話もしましょう。私の書道教室の書道会では、年に2回昇段級試験というのがあります。毎月の課題と審査と基本は同じ仕組みで、課題を提出して審査を受けて、昇段昇級が決まるという流れです。

 

ただし昇段級試験というだけあって、毎月の課題よりもハードになります。例えば紙のサイズがおおきくなります。普段は半紙での提出ですが、自分の段や級によっては、課題のサイズが大きくなります。

 

高段位になると半切と呼ばれるサイズにも書いたりします。子供によっては自分の身長よりも大きなサイズです。これに取り組むことは大きな挑戦となり、子供たちも汗をかきながら真剣に取り組んでいます。

 

楠書塾の川西教室では中学生で半切に取り組む生徒がいます。今回新たに半切がしっかりかける太い筆を用意しました。生徒も急に紙と筆がおおきくなったので驚いたでしょう。半切は長さが136センチ。題は「名所旧跡」でした。

 

太い筆と大きな紙で書くときは、体を使って大きなフォームで書くのがポイントです。手や手首で書いていては大きな字は書けません。実際に私が手本をその場で書き、どのような体の使い方をしているのかを見てもらいます。座っては書けません。立って中腰になって書いていきます。この姿勢もなかなか最初は慣れないと大変です。

 

紙に食い込むような奥行きのある線を引くには、紙に筆を打ち込むことが必要。打ち込むためには筆をまっすぐに立てて、ずんと一画を落とさないといけません。すうっと何気なく筆をいれてしまっては、弱い線、すなわち生命力のない線になってしまいます。

 

相撲の立ち会いのように座るといった話を前回のやさい日記で書きました。まさに一画一画を相撲の立ち会いのような気で打ち込んでいくのがポイントです。これは子供なら伝えればすっとできたりします。まだまだ純粋であるからでしょう。

 

昨日の生徒も最後のほうは筆と腕が一体になって動かせるようになってきました。一番最初に書いた「名所旧跡」と最後のを並べてホワイトボードに貼ってみると、字の大きさ、深み、迫力が全然違っていました。素晴らしい。これこそ自己成長です。

 

結果はあくまで結果です。段があがるかあがらないかはわかりません。それでも真剣に向き合い真剣に集中したその時間こそが貴重です。書道は字がうまくなることが目的の一つとして保護者の方もとらえていると思います。

 

しかし本当に大事なことは、いまここに集中して真剣に取り組むこと。その時間こそが本当の自己を作っていく大切な経験となります。その経験をすることこそに書を学ぶ価値があるのだと思います。その結果本当の自己がかく、すばらしい文字になっていくのだと考えています。

 

この大きなヤマを自分自身で乗り越えた生徒は、また大きく成長したことだと思います。その成長を見られるのが書道のセンセイをやる楽しみでもあります。生徒らの真剣に集中した姿は神々しい。これからもそういう道を、生徒とともに進んでいきたいと思います。

 

大人も子供もともに書の道を歩んでいきませんか!?

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