やさい日記

複線的人生の創造

川喜田半泥子をたどる 石水博物館にいってきた

さて、津での川喜田半泥子をたどる企画で東洋軒のブラックカレーを食べたあとは、石水博物館に行きました。そのあとの予定があったため、時短のためタクシーで。おおよそ10分くらいで到着しました。

 

小さな博物館ですが、モダンな建物です。奥は森になっていて、千歳文庫と呼ばれる洋風の建物がちらっと見えます。博物館の品を保存しているそうです。明治村にありそうな建物でした。

 

企画展を一通りみました。一番印象に残ったのは太閤秀吉のかなの手紙。秀吉のかなはきれいです。いい書だなと思います。確か魯山人は秀吉の書をべたほめしていたはず。落款(最後の署名のところです)に「てんか」(天下)といれているのですが、これもおもしろいですね。自分のことを「てんか」と呼ぶわけですから。太閤の人柄が垣間見れて楽しいです。

 

二階にあがり、半泥子の作品を見学しました。これが一番したかったこと。もうわくわくしてきます。陶芸品だけではなく、書画もあり、コンパクトながら堪能できました。夏の季節を意識されていて陶芸品も夏らしい涼し気な色合いのものが目をひきました。

 

私は陶芸にはそこまで関心がないので、作り方や形でうんちくを述べられるほどではありません。一番陶芸で気になるのは色。色合いです。これがきれいだなとか渋いなとか、そういう観点で楽しんでいます。お茶とか習ったらもう少し深まるのかもしれません。ま、その時が来たら。

 

半泥子は遊び心のある人だったので、書画にもそれがあらわれています。How are you?をあてじにした「波和遊」という横書きの書。すこし墨を薄めてにじみが多く、それがゆったりとした風景を作っています。これが見れたのがとてもよかった。半泥h氏83歳の作品です。心が遊んでいる境地が書をみるだけでわかります。いばっていない。素敵です。

 

たまたま私一人しかいなかったことと広すぎなかったため、心をゆったりと半泥子の遊び心を感じながら鑑賞することができて、大満足でした。季節ごとに半泥子の作品が変わるようなので、また違う季節に行ってみたいと思います。

 

帰りに「おれはろくろのまわるまま」という半泥子の伝記本を購入。読むのが楽しみです。帯の推薦文がとても印象的でした。銀行家、実業家としての半泥子と文人としての半泥子を「複線的人生」と書かれていました。この言葉がいいなと思いました。私自身これまで何かひとつに道を絞ることなかったので、この半泥子のような「複線的人生」を楽しく進んでいきたいです。