やさい日記

複線的人生の創造

行書って楷書をくずした字体ありません!そこからはじまる古典研究会 王義之【蘭亭序】

さてたまには書のことも。日曜日に会の古典研究会があり参加してきました。古典?というと普通は源氏物語みたいに高校の古文の授業に出てきたものを想像されるかと思います。

 

書の世界でそうではなく、古典というと過去の名品のことをいいます。先人たちはその過去の名品を真似て稽古してきたのです。そして今も古典を稽古して研鑽を積むのが書の道を行く者には大切だと言われています。

 

今回は王義之の【蘭亭序】。この研究会のおもしろいところは、実際に高校で書道の授業をされている先生が講習をしてくれるところ。普段から書に興味のない(?)高校生を相手に授業をされているだけあって、さすがおもしろいしわかりやすい。

 

この蘭亭序は高校のどの教科書もカラーで全文が載っているくらい書道の授業で重視されているようです。確かにうちの子の書道の教科書にも見開きカラーで蘭亭序が出ていました。高校で書道を選択するなら知っておいてよ!というのが王義之の蘭亭序だということです。

 

私がその講座でおもしろいなと思ったのがまずこれ。タイトルにも書きましたが、行書って楷書をくずしたんじゃないですよ、という話。

 

高校生に蘭亭序の授業をするとき、まず最初に「行書は楷書をくずしたものではありません!」ということから始めるそうです。中学での書写では字をしっかりきれいに書くところを学ぶため、必然的に楷書っぽいことから学ぶわけです。

 

しかし漢字の成り立ちからするとこれは違います。隷書という正式な書体があり、それを早書きしたのが草書、行書で、そのあと最後に楷書が出来上がったわけです。

 

これはなかなか悩ましいですね。まずはちゃんとした漢字を小学校から学んで書けるようになるのが大事ですから、小学生のお習字でもいわゆる楷書から始めます。文字を知らないのに隷書や楷書から小学生が書き始めたら混乱しますよね。字がそもそも違ってしまいますので。

 

私の書道教室でも小学生はきっちりとした楷書を練習しますが、中学生の課題になるとやや行書っぽくなるんです。急に変わるので子供たちもとまどいます。でもすごいもので子供たちはすぐ馴れます。変化にすぐ対応できるってすごいです。

 

うーーん、小学生に隷書から学ばせるわけにもいかないからこの矛盾は仕方ないのかな。ある程度多くの漢字を知った高校生になってはじめて、実は行書って楷書を崩したのじゃないんだよってところを伝えるのがやはりベストなのかもしれません。

 

高校の書道は選択授業なので、音楽や美術を選択したらこの話を聞かずに卒業して大人になるわけです。まあ知らなくても人生に関係ないやんと言われれはそれまでですが、でもせっかくだから多くのみなさんに知っておいてほしいです。

 

あ、全然王義之や蘭亭序の話までいかなかった・・・。長くなったので王義之や蘭亭序のことはまた明日以降書きますね。