やさい日記

複線的人生の創造

ジブリ【君たちはどう生きるか】と古事記の関連性について

ジブリの【君たちはどう生きるか】。古事記をモチーフにしているのかなと思うシーンが3つありました。ネタばれになってしまいますので、これから映画を見にいく方はここでサヨナラしてくださいね。

 

まず一つ目。【ヒミはコノハナサクヤヒメ?】です。主人公・眞人の母・久子は病院の火事で亡くなります。別世界で眞人は母の幼少期とも思えるヒミに会うことになります。このヒミは火を扱うのですが、これが古事記でいうコノハナサクヤヒメを彷彿させます。

 

古事記の日本神話では、アマテラスがニニギに高天原から葦原の中つ国(要するに日本のことです)天下り治めるように命令します。そのニニギが妻にしたのがコノハナサクヤヒメ。コノハナサクヤヒメは山の神オオヤマツミノカミの娘です。

 

一夜でコノハナサクヤヒメはニニギの子を身ごもります。それを知ったニニギは「別の神の子ではないのか?」と疑います。これに対してコノハナサクヤヒメは本当にニニギの子か確かめさせるために、産屋に火をかけます。本当に天津神(ニニギ)の子ならば、火の中でも生まれてくるでしょうと。

 

結果コノハナサクヤヒメは火の燃え盛る中、無事子を産み、ニニギの子だという証明をはたします。ここで生まれた子がのちの海幸彦、山幸彦となります。

 

私は火にまつわるヒミを見ていてコノハナサクヤヒメの逸話を思い出しました。火に扱う強い女性像だったからです。

 

2つ目は、【入ってはいけない産屋 夏子とトヨタマヒメ】。眞人の新しい母親となる夏子が産屋にこもる場面があります。ここに眞人が入ろうとすると夏子は激怒します。出て行け、大嫌いだ、と。

 

古事記の神話では、火の中から生まれたニニギとコノハナサクヤヒメの子である山幸彦が海神の娘・トヨタマヒメと結婚し子を産みます。このとき山幸彦は産屋に入ってはいけないというトヨタマヒメを覗いてしまいます。ワニの姿になって出産しようとしていたトヨタマヒメはその姿を見られたことを悲しみ、海の世界へと帰ってしまうのです。

 

出産の場という禁忌に入った眞人を叱って追い出す夏子。こらえきれず産屋を覗いたことに気づいて海の国へ帰ってしまうトヨタマヒメが似ているよなあと感じました。

 

3つ目は【ワレヲ学ブモノハシスの墓はイザナミの古墳】。眞人がペリカンの大群に押されてはいってしまう古い墓の場面です。暗い羨道がある墓なのですが、これは横穴式石室の古墳に大変似ていました。

 

古事記では火の神を産んで焼け死んでしまったイザナミがいるという世界に、イザナキが訪れるという場面があります。イザナキはこの地下の暗い道をあるいていくのですが、これは古墳の横穴式石室に至る羨道をイメージしていると言われています。

 

イザナキが羨道を歩いていき、イザナミの腐乱した死体を見てしまい、怒り狂ったイザナミに追われるのです。これは墓に書かれていた「ワレヲ学ブモノハシス」とつながっているのかなと思いました。

 

少しこじつけな感じがするでしょうか?私は【君たちはどういきるか】を見て、古事記の3つのシーンを想像しました。みなさんはどんな印象を持ちましたか?私はもう一度見たいなと思います。もう一度みたらもっと理解が深まるかなあ。

 

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