くすのき書道教室ー兵庫県川西市ー

墨の香りx木の香り/ひとりひとりを丁寧に、少人数の書道教室

誰のための書道なのか?

f:id:y-kusunk:20170520142319j:plain

 

鳥のさえずりが聞こえます。ウグイスも啼いていました。窓からは心地よい風が吹き込んできています。木の香りを感じながら墨を磨り、部屋には墨の香りが立ちこめます。新緑の季節、とても気持ちのいい教室環境ですよ。引き続き体験お待ちしています。  

 

『木を愛する書家』

プロフィールにも書きましたが、普段は木材関連の仕事をしています。同じ業界の方から「こんな字を書いてほしい」などという依頼をいただきます。総会の次第、看板、色紙などなど・・・字を書くということでお役に立てるというのはやはりうれしいものです。具体的に価格表などはブログにあげていませんが、もしそういうご依頼もありましたら、遠慮なくお問い合わせいただければと思います。

 

先日木材業界の仲間に「木を愛する書道家」と言われました。書家の定義はさておき、なるほど、それは嬉しい表現だなと思いました。世の中に木を愛する、木を商いにしている人はたくさんいます。一方自称を含め書家も。でも「木を愛する書家」ってなかなかオリジナリティがあっていいなぁと。

 

誰のための書道なのか?

教室の合間にそんなご依頼の一つをかいてみました。教室で自分の書をかくのははじめてだったのですが、やはり集中できますね。自宅マンションで書くのとは全然気分が違います。どんどん集中して気分がのってきます。やはり木の教室は素晴らしい。

 

f:id:y-kusunk:20170522134023j:plain

依頼された書は読みやすいことが大前提です。書いてほしい言葉にこそ依頼された方の気持ちがあるので、言葉ありき。アートっぽいのは封印してことばのイメージに合った書体で表現します。

 

教室のお手本もアートっぽいのではありません(あたりまえですが)。いろんな動機がありますが、みな『字がきれいになりたい』と思って習いに来られることでしょう。ここではひたすら個性を消して、一般的なきれいな字を書くようにしています。

f:id:y-kusunk:20170501110932j:plain

教室に来ていただけるみなさんには、字を書くことを好きになっていただきたいし、だんだんと字が上手になってきていることを実感してもらいたいし、もっともっと深い書の世界をのぞいてみてほしいです。そして書を通じて得られる「何か」を大事にしていただきたいと思います。

 

そのためにも私は書道教室をやっている「木を愛する書家」の私を見つめるのではなく、目の前にいる方を見つめていないといけません。目の前の一人一人を丁寧に見ていることが大切だと思うのです。

 

『すべてはお客様のために』

依頼されたモノを書くことも、教室のお手本も、すべて相手目線に立てるかどうか。すべてはお客様のために・・・・

f:id:y-kusunk:20170522135032j:plain

「すべてはお客様のために、これっていろんな意味が込められているんだよね~」と、一緒にたこ焼きを食べながら、それを書いてほしいと依頼された先輩は私に話してくれました。

 

ただ単に「お客様は神様です!」ということではないのだと思います。決してお客様に媚びるわけではなく、機嫌をとって・・・ということではありません。本当にお客様にとっていいものとは何かを自分に問いかけながら、相手の気持ちや立場に立って考えて行動しよう。ただ、自分自身の芯となる思いだけはぶれないように。ということを言いたかったのだと話を聞いていて解釈しました。

 

自己にとらわれすぎないように

以前のブログに司馬遼太郎の『21世紀に生きる君たちへ』を引用しました。それを読んでくれた先輩が、「司馬遼太郎の『風塵抄』ってエッセイもいいですよ。」と教えてくれました。

 

kusushodo.hatenablog.com

 

 

早速読み始めたのですが、その中に「四十の関所」というエッセイがありました。

 

四十代で鬼相を呈しはじめる人もある。むやみに権力好きになったり、また自己の利益にとらわれて他が見えなくなっている人がいる。あるいは犬が咆えるように自分のささいな健康上の不調を会う人ごとに訴えて、そのため自己以外の他者が見えなくなっている人もいる。

 

つい『自分は何者かである!』と力んで、それをリアルでもネットでも虚勢を張ってしまいがちです。冒頭に書いた『木を愛する書家』と言われた自分に浮かれて、自己にとらわれすぎてはいけない。大切なのは貴重な時間を割いて教室に来てくれた目の前の方とその時間。それを忘れないようにしなければと読んでいて思い直しました。

 

『すべてはお客様のために』という言葉を依頼されて書いたのにも、それを気づかせてくれる偶然があったのかなと思います。やっぱり大切なのは、他者への思いやり、ですね。

 

木の教室ってやっぱり落ち着きます